戦法

嬉野流

うれしのりゅう

嬉野流は、初手に左の銀を上がり、3手目に角を引く独特の出だしで知られる戦法です。アマチュアの嬉野宏明さんが考え出したもので、銀を斜めに繰り出す「斜め棒銀」が基本の狙いです。

4 / 4
盤面の一部。▲4六銀さらに斜め前へ。銀を斜めに繰り出す「斜め棒銀」の形です。後ろの角が、同じ斜めの筋から銀を支えています。

手順(自分の手だけ):▲5六歩 → ▲5七銀 → ▲4六銀

手順の読み方
▲
自分の手
△
相手の手
5六
マスの場所(図の上の数字と右の漢字)
打
持ち駒を打つ
同
直前に動いた駒を、そのマスで取る

銀を斜めに繰り出す「斜め棒銀」

真ん中の歩を突き、左の銀を角の通り道に沿って斜め前へ進めます。銀を斜めに繰り出していくこの攻めは「斜め棒銀」と呼ばれます。嬉野流では角と銀が同じ斜めの筋に並び、後ろの角が前の銀を支えます。飛車も合わせて、盤の右側(相手の角がいるあたり)を攻めます。

奇襲とされながら、プロも採用

変わった出だしから「奇襲戦法」に分類されることが多い戦法ですが、プロの公式戦でも採用されています。2023年には、考案した嬉野さんが、新しい戦法や新手を生んだ人に贈られる升田幸三賞を受賞しました。藤井聡太さんは「一本筋が通った戦法」と評しています。

長所と弱点

長所

  • 狙いが分かりやすく、覚えることが少ない
  • 相手が見慣れていない出だしなので、戸惑わせやすい
  • 相手の戦法や、先手か後手かに関係なく使える

弱点

  • 玉を固く囲えない
  • 相手の飛車が向かってくる列(自分の左側)の守りが薄く、棒銀で攻められやすい
  • 守りが薄いぶん、指しこなすには力が要るとされる

基本の定跡

初手に左の銀を上がり、角の通り道の歩を突かずに角を引くのが代名詞の出だしです。相手に飛車の前の歩を交換されたら、いつもより一つ下のマスに歩を打って受けます。

自分の持ち駒:なし

12 / 12
▲8八歩打いつもより一つ下のマスに歩を打って受けます(「土下座の歩」と呼ばれる受け方)。一つ上に打つと、あとで歩を打たれて金を呼び寄せられ、形を崩されやすいためです。

手順:▲6八銀 → △3四歩 → ▲7九角 → △8四歩 → ▲7八金 → △8五歩 → ▲4八銀 → △8六歩 → ▲同歩 → △同飛 → ▲8八歩打

この後は真ん中の歩を突き、上の図のように銀を斜め前へ進めて攻めます。

相手に使われたときの対策

角を斜め前に出して飛車の交換を迫りながら、嬉野流の側が突いた真ん中の歩を狙う指し方が、有力な対策とされています。また、嬉野流はこちらの飛車がいる列の守りが薄くなりやすいので、棒銀で攻めるのも対策の一つです。

あわせて覚えたい技

形を覚えたら、実際の対局で試してみませんか?

将棋で遊ぶ

表示設定